自動車
電装技術部
理工学研究科修了/2015年入社(技術系)
第3章
People
K.T.
自動車
電装技術部
理工学研究科修了/2015年入社(技術系)
※記事内容および社員の所属は取材当時のものです。
学生時代は、塾講師のアルバイトとテニスのサークル、さらに研究室に入ってからは研究に全力投球しました。寝袋を用意し、ずっと研究室に寝泊まりするぐらい熱中しました。研究のテーマは超電導です。社会の基盤を変革していくような夢のある技術だと感じ、ぜひ学びたいと思ったからです。
就職活動でも、超電導に携われる仕事を軸に検討しました。その中からフジクラに決めたのは、この分野において、最先端の研究開発にチャレンジしていると感じたから。また、「人」の印象も入社の決め手となりました。OB訪問で会った先輩社員がとても穏やかな人で、共感できる部分が多くて。こんな先輩がいる会社なら自分も楽しく安心して働けると感じていました。
入社してからずっと自動車分野の開発に携わっています。最初に担当したのは、超電導と同じぐらい夢のある技術だと感じた磁気冷凍。次に車載用のイーサネットスイッチを担当し、現在は、同じく車載用の光ファイバハーネスの開発に取り組んでいます。
これまで、車両内の通信はメタルケーブルが基本でした。しかし、最近、自動車でも通信の大容量・高速化が著しく進み、この先予測される6G(100Gbps)といった通信を実現するためには、メタルケーブルでは限界があると言われています。その壁を打ち破る技術として期待されているのが、光ファイバです。けれども、自動車への搭載には、絶え間ない振動や大幅な温度差など過酷な使用環境を考慮する必要があり、光ファイバにとって未知の領域。実用化するためには、接続部となるコネクタの開発、光ファイバをどう守るかなど、多くのテーマにチャレンジしなければなりません。光ファイバが自動車に搭載されれば、ボトルネックとなる通信の課題も解決され、今注目されているCASE(Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared(シェアリング)、Electric(電動化)といった技術革新が進む新しい領域)がさらに進展するはず。社会にも大きく貢献する技術です。
企業での研究開発は、多種多様なトレードオフに囲まれた中で、アイデアをひねり出しながら無理難題をクリアしていくような感じと言えます。それはとても苦しい作業でもありますが、それでもめげずに深く深く掘り進んでいくと、これまで思いつきもしなかった新しい景色が見えてくることがあります。この瞬間が、私にとってやりがいを感じる時です。
現在取り組んでいる車載用光ファイバハーネスの開発は、社内で一度凍結されていたものを、私の提案によって再開してもらったプロジェクト。社会のニーズ、競合他社の動きなどを見て、今こそ再始動すべきだと考えていました。多くの先輩たちにも応援されて、会社に提案を受け入れてもらえました。自動車と情報通信という2つの事業部門にまたがるプロジェクトであり、私は開発チームの取りまとめ役を任されています。
これまでいくつかの開発にチャレンジしてきましたが、残念なことにまだ自分が手がけた製品を社会に送り出した経験はありません。それだけに、今回の開発をぜひ実用化に結び付けたいと思っています。自分が開発した製品が工場で量産され、自動車に搭載されて社会に走り出す姿を見てみたい。それこそが、フジクラのエンジニアとしての一番のやりがいだと思っています。