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Technology

Technology Report #03

なぜ今、
無線通信に挑むのか?

無線通信の世界はまもなく5Gという時代を迎えようとしている。
その新しい世代において鍵を握る技術として注目を集めるのが「ミリ波通信」だ。
多彩な技術を生み出してきたフジクラのコーポレートR&D部門は、
このミリ波通信において先駆的な研究開発に取り組み、総合力で世界をリードするポジションにある。
なぜフジクラは未知ともいえる無線通信の世界へ踏み出したのか?
電子R&Dセンターで開発現場を統括する官 寧が、そのチャレンジスピリットを語る。

CHAPTER1

無線通信の世界はまもなく
新世代に突入する。
その鍵を握る技術が
「ミリ波通信」だ。

大容量・高速という無線通信のニーズが増す中、私たちが日々利用するスマートフォンなどのネットワークはまもなく5G(第5世代移動通信システム)に移行されるでしょう。この5Gが本格化すれば、現在の4Gと比較すると通信速度は100倍以上速くなると予測されています。そして、5Gの発展に欠かせない次世代技術として注目されるのが「ミリ波通信」です。ミリ波とは、波長がミリ単位(1~10mm)の電磁波。現在利用されている携帯電話が使用する電波の周波数が数GHzであるのに対し、ミリ波はその数十倍も高い。ミリ波技術は周波数帯域が広く確保しやすくなるため、より大容量・高速の通信が可能になり、まさに次の社会を支える無線通信技術なのです。

CHAPTER2

無線通信という
新領域にチャレンジする
千載一遇のチャンスだと
私たちは決断した。

これまで「有線」で数多くの実績を積んできたフジクラがなぜ、ミリ波通信という「無線」の分野に挑むのか? 不思議に思う人もいるかもしれません。このミリ波は、現在主流のマイクロ波と比べて周波数が桁違いに高く、まさに新世代の無線通信。従来までの無線技術だけではブレイクスルーできない壁も多く、その意味ではどの企業にとってもほぼ白紙の状態からのスタートともいえるのです。一方、フジクラには情報通信分野で鍛えてきた設計技術、光ファイバやFPCなどで培った材料技術など、ミリ波通信の開発のバックボーンとなる独自の技術を有しています。無線通信は、今後もグローバルな成長が見込まれる巨大マーケット。その領域に参入する千載一遇のチャンスであると私たちは決断したのです。

グローバルな環境で、多彩な経験が積めるからこそ、
次の社会の変化を、
自分たちの力で巻き起こしていける。
この大きな手応えこそが、
技術者としての魅力なのです。

CHAPTER3

日本はもちろん世界においても
開発競争の最先端を走っている。

ミリ波通信については、私が部長を務める電磁気応用研究部が中心となってすでに10年近く研究開発に取り組んできました。現在、この研究部をはじめ数十名の技術者が開発に携わっており、私は全体を統括する立場にあります。ミリ波通信では新しい構造のデバイスが必要となり、フジクラはそのデバイス材料において独自の開発を進めています。また、設計や材料に加えて、もうひとつのキーテクノロジーが高周波IC(集積回路)。この分野については海外からの技術導入を進めており、総合的な開発体制を整えています。すでに製造プロセスの開発にも着手しており、いよいよ事業化も視野に入ってきました。これほどの体制のもと先進の成果をあげている企業は、日本はもちろん世界的にも数少なく、グローバルな開発競争をリードするポジションにあると自負しています。

CHAPTER4

自分たちが主役となって
次の社会の変化を引き起こしていく。

スマートフォンの広がりが私たちの生活を大きく変えたように、まもなく始まる5Gの時代が本格化すれば、社会にまた新たな変革が引き起こされます。その革新は、日々の生活ばかりでなく、ビジネスや産業にも大きな影響を及ぼすはずです。この次世代の無線通信の鍵を握る分野がミリ波通信なのです。また、フジクラでは材料研究から製造技術まで幅広い開発を進めており、基礎的な研究から評価や試作など技術者として多様な経験を積むことができます。サプライヤーも顧客もほとんどが海外のため、開発体制もグローバル。私自身、最近は年の3分の1くらい海外に出張しています。このようなダイナミックな環境のもと、自分たちの力で社会の変化を引き起こしていくという大きな手応えこそがなによりもの魅力です。

世界の最先端を切り拓くR&Dテーマ

超電導

特定の物質において、低温で電気抵抗がゼロになる現象が「超電導」。たとえばこの技術を活用すれば、従来の送電銅ケーブルに比べ大幅に送電ロスを抑えられるなど、電力機器の常識を覆すような画期的な製品が実現できます。フジクラは1987年から超電導技術の研究開発に取り組み、現在世界のトップレベルに位置しています。2019年には、レアアース系高温超電導線材の量産技術開発に成功。従来と比べて1.5倍以上という世界最高性能の製品を実用化しています。

ファイバレーザ

光ファイバの応用分野として先駆的な研究開発に取り組んでいるのがファイバレーザです。既存のレーザに比べてビームの集光性や電力効率、信頼性などが優れ、現在、加工分野において急速に普及しつつあります。フジクラはこの分野においてもすでに世界トップクラスの技術を有し、独自の製品を開発し事業化を推進。さらに応用分野を拡大していくために、最先端の研究開発を展開しています。

マルチコアファイバ

増大する通信ニーズに対応するための、従来の限界を超えた次世代光ファイバの開発競争が世界で繰り広げられています。その代表的な技術が同一のクラッド内に複数のコアを有するマルチコアファイバであり、フジクラは世界で初めてペタビットの壁を突破する伝送に成功しています。また、1つのコアで複数の伝送モードに対応するマルチモードファイバも注目を集める技術。フジクラはこの分野においても従来の世界記録の約2倍という大容量・長距離伝送を実現しています。

Future

官 寧Guan Ning

電子R&Dセンター
電磁気応用研究部 部長 フェロー

中国出身。1981年に来日し、大学で研究に携わった後、2000年に入社する。以来、電磁界解析のスペシャリストとして光ファイバや小型アンテナなどの研究を担当。2012年に現在の研究部を立ち上げ、ミリ波通信の研究開発に取り組む。現在はプロジェクトの技術責任者として開発全般を統括している。

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