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Technology

Technology Report #01

情報化社会の
インフラを支える
ソリューション

フジクラが培ってきた電線の技術は、1970年代に光ファイバへと形を変え、
時代とともにさまざまな進化を遂げながら、
今、グローバルマーケットで大きな存在感を放っている。
その競争優位性のベースにあるものは何なのだろう。
情報通信事業の現場で光ファイバケーブルの
開発・提案に携わってきた竹田 大樹がビジネスの特徴を語る。

CHAPTER1

ルーツは1970年代まで遡る。先駆者たちは、
熾烈な開発競争に勝つことにすべてを賭けた。

国や地域を結ぶ光海底ケーブルから各家庭をつなぐFTTH(Fiber To The Home)まで、社会の神経網ともいえるインフラとなっている光ファイバネットワーク。その開発が本格化するのは1970年代のこと。米国の先行でスタートした熾烈な開発競争に、フジクラは日本電信電話公社(現NTT)との共同研究という形で挑みました。フジクラの未来を賭けた背水の陣ともいえる体制のもと、開発の鍵を握る「極低損失化へのアプローチ」において画期的な理論&メソッドを発表。1970年代後半からはじまる実用化競争においても常に先駆的な役割を果たしてきました。果敢なチャレンジはやがて事業として結実し、フジクラは光ファイバの領域で世界をリードし続ける存在となりました。

CHAPTER2

時を経て、
世界最高密度の光ファイバケーブルが
圧倒的なシェアを獲得している。

かつてとは比較にならないスピードで通信量が増えている近年。一つのケーブルに多数の光ファイバを収納した高密度光ファイバケーブルが熱い視線を浴びています。テレコムキャリアをはじめ、膨大な通信データを媒介・管理する企業では、限られたスペースの中に光ファイバケーブルを効率的に配線する必要があるからです。“より細く、高密度な方向へ”。そんな時代の先頭を走っているのがフジクラの光ファイバケーブル「SWR®/WTC®(Spider Web Ribbon®/Wrapping Tube Cable®)」です。特にデータセンタ向けでは、世界最多となる6912心の光ファイバを、この心数では世界最小の直径29mmの中に詰め込んだケーブルを開発するなど、革新的な製品をリリース。布設工事を簡単に短時間で行えるなどの特長も相まって、国内外の著名企業に数多くの納入実績があります。

突拍子もないアイデアも、決して否定されることはない。そんな組織だからこそ、まだ世の中にないものをつくり出していけるのです。

CHAPTER3

夢のようなゴールに向けて、
妥協せず突き進んでいくカルチャー。

フジクラが世界に先駆けた製品を絶えず開発できるのは、固定観念にとらわれない組織だからに他なりません。仮に、突拍子もないアイデアを口に出したとしても、決して否定されることはない。むしろみんなで一つの夢を共有し、「できるんじゃないか」「やってみよう!」と後押ししていく土壌があります。SWRの開発も、そうでした。それまでは平らな“板状”だった光ファイバリボンを、“クモの巣状”の構造にしてみようという型破りな発想によって、比類のない密度が実現しました。もちろん世の中にないものをゼロからつくり上げるのは簡単ではありません。そのため、いきなりホームランを狙わずに、ヒットを積み重ね、コツコツと課題解決を図りながらより良い製品に仕上げていく。夢のようなゴールを設定した上で、妥協せず最高を目指していくカルチャーが、フジクラの情報通信事業部門におけるパワーの源だと感じています。

CHAPTER4

世界中のあらゆる国と地域に、
光通信のソリューションを届けていく。

先進国では既に光ファイバが普及していますが、世界全体を見渡せば、まだまだ途上。新興国では政府の補助のもと、光ファイバの普及に取り組んでいる例も多い状況です。それに加えて、AIやDXの進展が予想されるこの先は、いずれの地域でも光ファイバの需要が一段と拡大するでしょう。このような情勢の中、私たちは光ファイバのみならず、光ファイバをつなぐ融着接続機などの関連機器や光部品でも、先進の技術を有する強みを活かし、社会に貢献できるトータルソリューションの提供に注力していく考えです。まだ世の中にないものを創出していく醍醐味を若い技術者たちと分かち合いながら、情報通信事業のグローバル展開を強力に推進していきます。

社会を支える光ファイバの主な分野

汎用光ファイバ

周辺機器の進化とともに、汎用性の高いシングルモード光ファイバの需要も高まっています。この汎用光ファイバの分野は、2000年代初めに続く第二の転換期を迎えていて、伝送損失に加えて曲げ損失も小さいという特性が求められています。フジクラでは、屈折率分布の最適化といった技術革新や高品質な製造技術によって、この分野でも先進の製品を社会に提供しています。

宅内配線用光ファイバ

インターネットの広がりとともに、幹線ネットワークと家庭をつなぐ回線にも光ファイバが利用されるようになってきました。これに伴い、宅内での厳しい取り扱いでも損失が生じない「低曲げ損失光ファイバ」(BIF : Bending-loss Insensitive Fiber)の需要が高まっています。フジクラは、曲げ損失が小さく、かつ接続も容易という光ファイバを独自に商品化し、社会のニーズに応えています。

高密度光ケーブル用光ファイバ

フジクラは限られたサイズの中に多くの光ファイバを収容可能な高密度光ファイバケーブル(SWR® & WTC® ※)を世界に先駆けて商品化しました。このケーブルには長年培われた光ファイバ技術と共に、光ファイバを間欠的に固定し、変形可能としたSpider Web Ribbon技術、SWRを高密度に、かつ、損失の劣化なくケーブル内に納めるWrapping Tube Cable技術と、多くの革新的技術を融合させ開発・商品化したものであり、ケーブルのさらなる高密度化に寄与しています。

※Spider Web Ribbon® & Wrapping Tube Cable®

Future

竹田 大樹Daiki Takeda

情報通信事業 光ケーブル事業部 ソリューション営業技術部 部長

2002年の入社後は、WTCを含む各種光ファイバケーブルの開発に携わる。2015年からは米国の現地法人に開発エンジニアとして出向。帰国後は営業技術としてSWR/WTCの拡販で実績をあげてきた。2023年に現職となり、マーケティングからソリューションの開発・提案に至るまでの活動を牽引している。

※記事内容および社員の所属は取材当時のものです。

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