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Technology

Technology Report #02

あらゆる機器の神経となる
フジクラのエレクトロニクス

エレクトロニクス機器の動作や機能をコントロールするために、
なくてはならない神経のような役割を果たしている電子部品。
フジクラの電子部品は世界に名だたるメーカーに選ばれて、
スマートフォンやPC、タブレット、AR/VR、ドローンなど、
多種多様な機器に搭載されている。
これほどまでの成長はどのように成し遂げられたのか。
電子部品の開発部門を率いる富塚 稔瑞がビジネスの変遷とビジョンを語る。

CHAPTER1

新たな地平へのチャレンジ、
それは新たな挑戦からはじまった。

「フジクラの次代を担う、新しいコアビジネスをつくろう!」。そんな熱い想いとともに、電子機器の配線材である電子ワイヤのプロジェクトが発進したのは1970年代のことです。とはいっても、しばらくは赤字の年が続き、社内ではプロジェクトの存続を疑問視する声も聞かれたそうです。しかし、メンバーたちの不屈の想いがついに扉を押し開けます。1985年、タイ王国に製造拠点を設立し、勤勉で優秀な現地従業員と力を合わせ 、低コストかつ高品質の製品を大量に供給できる体制を確立できたことで、世界に冠たるメーカーとのビッグビジネスを次々と成功させていきました。(キーボードケーブル、インターフェーズケーブル、他)
創造的で挑戦的なフジクライズムとタイ王国の製造拠点がシンクロし、世界トップクラスのシェアを獲得。 フジクラのエレクトロニクス事業の基盤を築いていったのです。

CHAPTER2

フジクラの快進撃は止まらなかった。
高性能な冷却部品はスパコンへの採用も。

電子ワイヤ事業が軌道に乗った後も、フジクラは攻めの姿勢を続けました。各種の情報端末に使われる電子ワイヤやサーマル、メンブレン、HDD用キャリッジなどの特徴ある製品を矢継ぎ早に開発し、戦略的に市場投入。それぞれの製品群が業界の技術リーダーとなったのです。その一例として、世界上位のスーパーコンピュータには、フジクラのサーマル製品(冷却部品)が使用され、超高速な計算能力に貢献しています。電子部品のお客様はいずれも世界の大手メーカーです。要求水準も当然高くなりますが、フジクラには長年培ってきた品質管理能力があり、特にカスタム製品についてのスピード感ある対応力は大きな強み。多くのメンバーが製造現場での経験を持ち、技術の肝を心得ていることが、フジクラならではの優位性に結びついています。

顧客満足の追求は、技術者自身のやりがいや<br>次への原動力につながって、私たちの内面にポジティブな循環をもたらしてくれるものなのです。

CHAPTER3

Customer Satisfactionがビジネスの軸。
この姿勢を大事にすれば好循環が生まれる。

製造拠点であるタイのメンバーとのチームワークも、フジクラの強みの一つといえるでしょう。私が研究所からタイの製造現場へ異動したのは入社7年を過ぎた頃。タイの電子部品工場は「Customer Satisfaction(顧客満足)」を非常に大切にする職場でした。短納期や要求の難しい仕事が来ても、メンバーは「Customerが喜ぶんだよね」と献身的に業務に取り組んでくれました。そうして何度もお客様の要望に丁寧に応えていくうちに、自分たちの技術レベルが加速度的に向上するのを感じました。帰国後に配属された開発部門にも、顧客満足を大切にする考えが浸透。お客様の期待を超える技術提案をする中で、感謝の言葉をいただいて、大きな喜びを得てきました。Customer Satisfactionの先にあるのは、ビジネスの拡大だけではありません。それは技術者自身の成長にもつながって、やりがいの大きさが次なる挑戦へのモチベーションを生むというように、私たちの内面にポジティブな循環をもたらしてくれているのです。

CHAPTER4

「技術力」でお客様に信頼され、愛される
フジクラであり続けるために。

フジクラのエレクトロニクス事業は、お客様の困り事に応え、技術提案を重ねることで、製品を拡充し発展してきました。私たちは今後も「技術のフジクラ」の伝統に恥じぬよう、技術力でお客様に信頼され、喜んでもらえる製品をお届けしていく必要があります。通信量の増加に伴って、データセンタやIoTなどの情報ストレージ領域は、継続的な市場拡大が見込まれています。私たちはこの動きに対応し、サーバ用の冷却部品やHDD用キャリッジといった製品のさらなる高密度化・高性能化を推進。ハイエンド情報端末向けの新たな電子部品開発にも積極果敢に挑んでいます。人々が毎日利用する情報端末から、データを保存する情報ストレージの中枢部品まで。高付加価値な製品を次世代のメンバーとともに生み出しながら、社会と顧客の信頼に応え続けていくことが、私たちの普遍的なテーマです。

幅広い産業で活躍する電子部品

スマートフォン用基板対基板コネクタ(FB35AT5シリーズ)

フジクラは基板間接続用コネクタで、業界トップレベルの小型軽量化を実現し、スマートフォンなどのモバイル機器内部の高密度化に貢献しています。また、堅牢な電源コンタクトや、インナーメタルアーマー構造(※)の採用により、さらなる高強度化へのニーズにも対応しています。

※レセプタクルコネクタ中央部に金属を配置した構造。

メンブレン

メンブレンは、スクリーン印刷技術を用いてフィルムに回路を形成したフレキシブル配線板。これを加工してスイッチなどを構成したメンブレンスイッチは、お客様の要望に応じて設計・製作するフルカスタム製品です。折り曲げや屈曲が可能で価格が安く、各種の構造に対応できる特性から、PCのキーボードや家電、携帯電話、自動車の着座センサなど、幅広い用途に使われています。

サーマル製品

熱伝導性に優れて、設計自由度も高い、フジクラのサーマル製品(冷却部品・モジュール)。
顧客はPCやスマートフォン、サーバ、スパコンなどを製造するグローバル企業で、累計2億5千万個以上の出荷実績を誇っています。発熱量の大きな機器にも適用できるため、今後は電気自動車や工業用ロボットをはじめとする幅広い分野での需要拡大も見込まれています。

Future

富塚 稔瑞Toshimizu Tomitsuka

事業開発・企画センター 電子部品開発部 部長

1995年入社。研究所で金属材料の開発に携わった後、2003年から2回タイに駐在。国内での製品開発と海外の製造現場で培った総合的な技術力を顧客提案に活かしてきた。2013年からはメンブレンの製造・開発も担当。現在は新規電子部品の開発と次世代のビジネス戦略を司っている。

※記事内容および社員の所属は取材当時のものです。

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