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Technology

Technology Report #05

フジクラのものづくりを
支える生産技術

ものづくりの最前線に立ち、
フジクラ製品の高いバリューを支えているのが生産技術エンジニアだ。
彼らはさまざまな事業部門の製品に携わり、横断的に技術を学べるポジションにいる。
そして、自身のアイデアでオリジナリティのある設備やプロセスを創造できる。
世界をフィールドに友情の輪を広げ、ものづくり技術の革新をリードしていける。
そんな仕事の醍醐味を、生産技術開発部隊のリーダーである大西 尚が語る。

CHAPTER1

独創的な製品の背後には、
独創的な生産技術の存在がある。

「生産技術」とは、製品を“いかに品質よく、つくりやすく、効率的に量産するか”という方法を設計する仕事です。信頼性の高い製品をコストパフォーマンスよく生産できる技術を開発・展開することで、フジクラの競争力をさらに向上させていく。それが、私たち生産技術部門の使命といえるでしょう。「進取の精神」と「技術のフジクラ」をDNAとして、創造的なものづくりを行ってきたフジクラには、他社にないフジクラ固有の生産技術が多数あります。これらの技を組み合わせ、IoTやAIなどの最新のデジタル技術も融合させることにより、世界に勝てる最先端の生産技術を追求していくのが、当部門の方針です。また、独創的な製品と、それを生み出す生産技術は不可分なため、私たちは新製品の試作段階から、事業部門と一体になって、量産を見据えた生産技術開発をスタート。多くの生産設備をフジクラの内部で作る、いわゆる内製によって、フジクラならではの強いものづくりを支えています。

CHAPTER2

同じ設備は二度入れない。
必ずどこかを進化させ、
つねに高みを目指していく。

フジクラの戦略製品である光ファイバ「SWR®(Spider Web Ribbon®)」。この生産設備も100%内製で、私たち生産技術部隊がつくったものです。世界市場での拡販に伴って、設備の増設も続けてきました。需要が急激に伸びている時期は、短納期での設備の導入が求められますが、だからといって以前と同じ機械(設備)を入れたのでは進歩がありませんので、何かしらの技術革新を短期間のうちに実現します。もちろん仕事の難易度は高くなるものの、改善の種はつねに現場に落ちています。量産現場に張り付き、製品開発の担当者ともコミュニケーションを図りながら、事業部から提示された要件の上をいく、期待された以上の付加価値を提案していきます。こうして自分のアイデアを盛り込んだ設備が、ものづくりに関わる人たちに感謝してもらえた時の達成感はひとしおで、技術者冥利に尽きます。

フジクラの生産技術エンジニアは、「黒衣」ではない。ものづくりのステージで「主役」となって活躍できる魅力的な仕事です。

CHAPTER3

何としてでも工場を復活させるのだ。
供給への使命感が全員を一つにしていた。

フジクラの生産技術エンジニアは、海外で活躍する機会が非常に多く、私もかつてはタイ工場向けの設備開発や導入に長年携わっていました。そんな愛着のある工場が大洪水に襲われたのは2011年のこと。衝撃の知らせを受けた私は水が引いた直後に工場に乗り込み、現地の駐在員やエンジニアたちとともに復旧作業に取り組みました。電気も通じない泥まみれの施設の中で、いつ終わるとも知れぬ作業に明け暮れる日々。しかし、誰一人として手を休める者はいませんでした。「1日でも早く工場を復活させるのだ」という使命感で全員が一つになっていたあの時の推進力は、今でも忘れられません。大水害から蘇ったタイ工場はその後、世界的IT企業への製品供給を無事再開。今もフジクラの生産拠点の中核として、なくてはならない役割を果たしています。

CHAPTER4

自分たちが主役となって、
ものづくり革新を牽引していける。

光ファイバ、電子ワイヤ、FPC(※)……。私はこれまでのキャリアの中で、実にさまざまな製品の生産技術に関わってきました。生産設備の開発・導入・改善、工場の新設、管理・保全に至るまで、多岐にわたるフェーズの業務にも携わり、自分の力を試してきました。フジクラの生産技術エンジニアは、すべての事業部門を相手にできるところに特長があり、全社の生産技術に横串を通したスキル形成が行えます。こうしたノウハウの蓄積が、事業部だけでは気づけなかった改善ポイントなどの提案につながって、生産プロセスを飛躍的に向上させるケースも少なくありません。生産技術エンジニアはしばしば、縁の下の力持ちとか、黒衣などといわれますが、フジクラにおいては決して陰の存在じゃない。自分自身が主役となってものづくり革新を牽引していける、非常に魅力的な仕事であると身をもって感じています。

※現在、FPC事業はグループ会社に継承されています。

生産技術開発の流れ(新工場の建設事例)

<1>プラニング

顧客要求や競合他社の動向などの市場環境、製品の特徴や生産計画、目標利益率などを明確化。工場の立地、インフラ、環境やリスク管理面での課題、従業員の習熟レベルなどの調査をもとにプラニングを進めます。

<2>設計・開発

建物や工場内のレイアウトの設計、設備の開発や選定を行います。同時に建設スケジュールの立案や見積などコストの検討を行います。

<3>海外工場での施工・設備引き渡し

国内などでテストをした後、現地に設備を搬入して据え付け、生産ラインを組み立てます。その後、試運転を繰り返して調整を行い、生産設備の引き渡しを行います。

<4>工程改善

工場が稼働後も、生産性や品質の向上のために改善を積み重ねます。また、作業員や保全スタッフの教育なども重要な業務となります。

Future

大西 尚Hisashi Onishi

先進設備技術開発部 部長 兼 生産システム開発部 部長

2000年の入社以来、生産技術エンジニアとして、さまざまな製品の生産設備に携わる。入社間もない頃から頻繁にタイへ出張。2013年以降は洪水被害から復旧したタイ工場に駐在し、新規設備の導入・改善・管理などを担当。現在は、世界に先駆けた生産設備技術の開発部隊とプロセス(AIやIoTなど「ものづくりDX」の)開発部隊を率いている。

※記事内容および社員の所属は取材当時のものです。

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